2つの長方形の面積の大小|思考力を鍛える数学

長方形に,長方形が接している一般的な状況での問題です.一見しただけでは,どちらが大きいかわかりません.パズルだと思ってみると何か手がかりがつかめるかもしれません.

ヒント

大きな長方形から赤色の長方形を除く $4$ つの直角三角形について考えてみると,何か気づくかもしれません.

以下,2通りの解き方を解説します.

図形的な解き方

大きな長方形から赤色の長方形を除く $4$ つの直角三角形を考えます.
これらの直角三角形をつぎのように移動させます.

さらに,つぎのようにすると,$4$ つの直角三角形を $2$ つの長方形に合併することができます.

最後に,この $2$ つの長方形をつぎのようにスライドさせます.

もうお分かりかと思いますが,この色のついた長方形の面積の和は,大きな長方形の面積から青色の長方形の面積の和をひいたものなっているのです.

つまり,赤色の長方形の面積と青色の $2$ つの長方形の面積の和は等しいことがわかります.

代数的な意味

辺の長さを設定して代数的な意味を考えることもできます. 下図のように長方形の辺の長さを設定します.

このとき,赤色の長方形の面積は, $$\sqrt{a^2+b^2}\sqrt{c^2+d^2}$$ です.

また,青色の長方形の面積の和は, $$ac+bd$$ です.
ここで,コーシー・シュワルツの不等式から $$(a^2+b^2)(c^2+d^2) \ge (ac+bd)^2$$ が成り立つので, $$\sqrt{a^2+b^2}\sqrt{c^2+d^2} \ge (ac+bd)$$ となり,この不等式の等号が成立するための必要十分条件は, $$\frac{a}{b}=\frac{c}{d}$$ です.
ところがもとの図形をみてみると,三角形の相似から $$\frac{a}{b}=\frac{c}{d}$$ が成り立っています!したがって,上の不等式の等号は成立します.よって,赤色の長方形の面積と青色の $2$ つの長方形の面積の和は等しいことがわかります.

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